家のデザインをできるだけシンプルにしたい。
そう考える人は多いと思います。
注意したいのは、物を減らすこと=シンプルではないということです。
確かに、物に溢れた部屋をシンプルに見せるには統一感をつくる等の工夫が必要で難しいでしょう。
ただし、物を減らしたからといってシンプルでオシャレなインテリアになるとは限りません。
シンプルなデザインを魅力的にする要素のひとつとして、そこに置かれた物、家のつくり、空間に意味を持たせるということが大切になってきます。
意味を持たせる、逆に言うと理由があってそこに配置させるということになります。
すると、そこに説得力が生まれます。
例えば同じような物の少ない2つの部屋でも、それぞれの物がただ配置されているのと意味があって配置されているのでは、受ける印象が全く違います。
それでは、具体的にみていきましょう。
説得力のあるデザインとは
説得力のあるデザインとは何でしょう。
話を分かりやすくするために、まず身近なファッションでたとえてみます。
メゾン・マルジェラのタビブーツ
例えば、有名なメゾン・マルジェラのタビブーツ。
今でこそ慣れしたんだデザインですが、当時奇抜なこのブーツがなぜここまで有名になったのか。
タビブーツの原型は、15世紀に労働用に使われた親指が別れていることで体のバランスが取りすくした靴下、足袋から始まりました。
マルタン・マルジェラは、素足に近い履物を探している中でこの足袋を参考にしてあのタビブーツを思いつきました。
つまりデタラメなデザインではなく、意味のあるデザインをモチーフに生み出されたからこそ、タビブーツはメゾン・マルジェラを代表するアイテムになりうる説得力を持っているのです。
同じような奇抜なデザインでもどこか陳腐に見える商品があるのは、そのデザインに理由がないからです。
家における説得力のあるデザインとは
家における説得力のあるデザインも同じです。
ただこうした方が良さそうではなくて、○○だからこうしたといった理由があることで説得力がうまれます。
外壁の素材も、なぜ塗り壁なのか、なぜガルバリウムなのか、特性を理解した上で適した素材を選べばそこに理由ができます。
インテリアもそうで、なぜここに照明を配置したのか、どうしてこの照明を採用したのか、それぞれに自分なりの理由があれば説得力が生まれます。
理由といっても、難しいものじゃなくて大丈夫です。
ただ、なんとなく選んでなんとなくここにある、それがよくないということ。
例えば、「なんでここに窓をつけたの」と聞かれたときに簡単に説明できるようにしておけば大丈夫です。
全てのデザインに自分なりの理由があれば、自然と見る人にこだわりを感じさせることができます。
それがデザインの説得力です。
例えば我が家では、玄関入ってすぐ正面に中庭の見える大きなFIX窓を採用しています。
理由は、
① 玄関ドア側には防犯とプライバシーの関係で窓をつけていないので、明かり取りとして。
② 家の顔である玄関入ってすぐに外が見えるので、全体的に広く開放感のある印象になる。
③ かなり大きめの窓なので、断熱性と気密性の観点からFIX窓を採用。
こんな感じで、ひとつひとつのものを理由があって選んでいます。
大事なのは減らすこと
ここまでのことを踏まえて、説得力のあるデザインをシンプルな家に落とし込んでいきます。
はじめに、物が多いとシンプルなインテリアにするのは難しいと言いました。
ただごちゃごちゃするからという理由もありますが、もうひとつの理由があるんです。
それは、物が多いと、全ての物に理由を持たせるのが困難になるからです。
おもちゃ箱に100個のおもちゃが入っていて、ひとつひとつ好きな理由を言えと言われたらしんどいですよね。
逆におもちゃ箱にお気に入りの3個しか入っていなければ、好きな理由を言うのは簡単です。
つまり、理由のある物を増やすんじゃなくて、理由のない物を減らすことが重要なんです。
シンプルな家にしたいとき、大事なのはずばりこれです。
理由のある、つまりこだわりのある物を集めるよりも、こだわりのないものをなくすことの方が近道になります。
そうすると必然的に物が減り、デザインが洗練されていきます。
ただただ物が少ないだけのインテリアと、シンプルでオシャレに感じるインテリアの違いはこうして生まれます。
シンプルなデザインにも説得力を持たせるのまとめ
いかがでしたでしょうか。
シンプルなデザインでも、理由があってデザインされたものには説得力が生まれます。
理由のあるもの増やすより、理由のないこだわりのないもの減らす(なくす)ことがシンプルなデザインへの近道になります。
全ての要素に理由があれば、デザインだけでなく機能性においても満足できる家になるでしょう。
LIVE SIMPLYでは、他にもシンプルに暮らす家の話を紹介しているのでぜひご覧ください。
コメント